賃貸住宅の遺品整理は、早めに行うか、相続放棄することが賢明です
賃貸の住宅で遺品整理を行う場合法律(民法)の観点からいくつかのポイントがあります。
①故人が借りていた部屋の住む権利(賃借権)は、相続人が相続する
②故人の部屋の中の家財は、相続人に帰属する
③故人の未払いの家賃は、相続人に継承される
④故人の部屋の退去に伴う原状回復費は、相続人と連帯保証人が負う。
⑤賃貸契約の連帯保証人は、相続人とともに賃料などの支払いの責任を有します。
これらを考慮に入れて遺品整理のすすめ方を解説します。
相続人以外勝手に故人の家財を処分することは、できません
故人の家財は、死亡した時点で相続人も所有物と考えられます。大家さんも連帯保証人も家財を処分し、勝手に部屋を解約することは、できません。相続人が自ら家財を処分するか持ち帰るなどして明け渡しをする必要があります。
家財を運び出して部屋を解約しないと、相続人や連帯保証人は、家賃の支払いから逃れることはできません。
いずれにしても相続人は、早めに遺品・家財を処分することが賢明です。
故人の財産を一切放棄する相続放棄を検討しましょう
故人が、商売の借金があったり、孤独死で原状回復費用の請求が多額と予想されれば、①から④を逃れる相続放棄ができます。家庭裁判所へ手続きを行うのですが、手続きそのものは、難しくありませんが、故人の財産や借金を一切相続には、手を付けていけません。相続放棄は、相続を知った日から3か月以内に行うなど、注意すべきことが多く、弁護士等の専門家に相談したうえで行う方が安心です。
注意)一定の条件を満たせば、相続放棄を行っても遺品を処分してよいとする専門家の方もおり、遺品を処分してはいけないという専門家の意見もあります。
相続放棄した保証人の取るべき責務
賃貸契約にあたって、連帯保証人を付けていることが一般的です。保証人は、親兄弟の方や賃貸保証会社がなるケースが多いようです。
身内の方が保証人の場合では、
相続放棄を行うと故人の賃貸に関する財産や借金を背負うことはありません。しかし、もし、故人の賃貸保証人が親や兄弟の方がなっていたなら、賃貸契約の連帯保証人は、相続放棄したとしても相続人とともに賃料などの支払いの責任を有します。そのため、家賃や原状回復の範囲で責務があります。この場合、故人の遺品整理を行い早めに賃貸契約の解約を行う必要があります。ただ、当然故人の賃貸契約上に生じた債務に限られ。それ以外の故人の借金まで追うことはありません。
保証会社が保証人になっている場合では、
相続放棄が行われずに故人の遺品をそのままにしていると保証会社では、自ら、法律手続きに問題ないように遺品の処分や原状回復を行います。しかし、保証会社では、その費用について相続人を特定し請求が行われますので、注意が必要です。勿論、相続放棄が行われていれば、請求はありません。
筆者よりコメント
原稿作成りあたり、相続放棄の見解は、専門家でも意見が微妙に異なっております。筆者自身も行いましたが、法解釈で判断が迷うところも多々ありました。しかし借金を相続することで生活の困窮等が予想されるのであれば、慎重に手続きを行いましょう。相続手続きを行わないなら、故人の借金を背負うことになるのは、確実です。
最近は、相続放棄件数も増加した半面、それに伴って相続人に請求する債権者も増えています。
孤独死の大家さんの責務
賃貸住宅において、入居者が孤独死することがあります。孤独死とは、家族や身近な人がいない中で一人暮らしをしていた人が、亡くなった後に発見される状態を指します。このような状況になると、遺体の発見には時間がかかることがあり、その間に遺体が腐敗してしまったり、悪臭が発生したりすることがあります。
このような状況になった場合、賃貸物件のオーナーは原状回復や特殊清掃について考えなければなりません。原状回復とは、入居者が退去した後に物件を元の状態に戻すことで、多くの場合、清掃や修繕などが必要になります。特に孤独死が発生した場合は、遺体が発見されるまで時間がかかるため、遺体の腐敗物や臭いが物件内に残る可能性があります。このため、特殊清掃が必要になることがあります。
特殊清掃は、遺体の発見現場や周辺を専門の業者が清掃することで、遺体が放置された場合に発生する血液や体液、腐敗物や臭いなどを除去する作業です。特殊清掃を行うことで、その後の原状回復がスムーズに進むだけでなく、遺族や近隣住民に迷惑をかけることも防ぐことができます。
ただし、特殊清掃にはコストがかかることがあります。また、特殊清掃に対応するためには、オーナー側がすばやく行動することが必要です。孤独死が発生する前に、入居者とのコミュニケーションを大切にすることで、孤独死のリスクを減らすことができます。また、定期的な清掃やメンテナンスも重要です。
大家さんの原状回復請求権
賃貸住宅において、入居者が亡くなってしまった場合、その物件は「孤独死物件」と呼ばれます。このような場合、原状回復や保証人・相続人への請求など、さまざまな問題が生じます。
まず、原状回復について説明します。原状回復とは、入居者が借りた物件を入居前の状態に戻すことを指します。例えば、入居前に壁に穴をあけたり、床に傷をつけたりした場合は、それを修復する必要があります。また、入居者が故人となった場合でも、原状回復は必要です。これは、物件を次の入居者に提供するための最低限の条件として求められます。
次に、保証人・相続人への請求について説明します。保証人とは、入居者が借りた物件について、入居中のトラブルや滞納などが生じた場合に、家賃や損害賠償などを代わりに支払う人のことを指します。一方、相続人とは、故人の財産を相続する人のことです。
孤独死が発生した場合、保証人や相続人に対して、家賃の未払いや原状回復費用などを請求することができます。ただし、そのためには、まずは故人の住所や家族などを確認する必要があります。また、故人が借りていた物件が空き部屋となっている場合は、原状回復費用や家賃の未払い分などが積み重なってしまう可能性があります。そのため、早急に対応する必要があります。
以上のように、孤独死物件には様々な問題が生じますが、原状回復や保証人・相続人への請求など、適切な手続きを行うことで、問題を解決することができます。
遺品整理の経験者から体験談を聞いてみました
こちらは、実際に業者さんを利用せず自らごご家族の遺品整理を行った体験談です。生のお話なのでぜひご参考にしてお役立てください。
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《記事制作と責任者》
大野大助(おおのだいすけ)
空き家管理士
一般社団法人家財整理センター代表理事
20年間の実務経験後代表理事に就任。
現在、相談業務と現場管理を担当
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